派遣切りの言葉と共に、派遣、特に製造業派遣が悪いという論調もありますが。
偽装請負と言う言葉があります。請負は契約を受けた会社が実施責任を持ち、労働者への指揮命令も請け負った側が行います。これに対して派遣は、派遣先の会社が責任を持つのです。仕事の結果責任を負うのがどちらかという面もありますが、それよりも、労働災害が起こったときの責任の所在の方が、より大きな意味を持ちます。請負の場合は請負先ですが、派遣の場合は派遣された会社に責任があります。よって、本当は指揮命令しているのに、偽装して請負ということにして責任を逃れようという会社があるのです。これじゃいけない、ちゃんと指揮命令しているなら、派遣という正しい形にしなければなりません。
さて、派遣ですが。この形態によって、労働者の側は自由度を持って働くことが出来るし、会社側も一定の責任を持つにしても指揮命令が出来るし正社員並の福利厚生は必要ないしで、両方にとってメリットがある制度なのですね。それを、派遣切り行為が増えたからと言って、制度自体に問題ありとするのは短絡的です。どんな制度であれ、悪い面はあるのであり、悪い面を修正していけばよいだけの話です。なんでも、悪いことがあれば止めてしまえば良い訳ではありません。ただし、前提はあります。
一つ、派遣とはいえ単なる労働条件を下げるための方策に利用させないこと。派遣契約期間が残っているのに契約を打ち切るとか、同じ仕事内容で同じ責任を負っているのに単金が異常に安いとか。そんなことはしてはいけないし、政府も取り締まるべきです。偽装請負は放っておくし、弱い立場の労働者を守らない政府は、不作為の責任があります。また、一定の条件を満たせば、正社員としての雇用を希望する人を雇用する制度(既にあります)の拡充と適用の監視をするべきです。
一つ、労働者の側も自由度が高い制度にはリスクもあると自覚するべき。正社員を希望せず、自由度を求めてきた人の場合は、いざ経済不況になって次の契約先が見つからないとしても、自分が選択した道なのですから、甘んじて受け入れるべきです。それなのに政府の無策を言っても仕方がありません。もちろん、正社員を希望していて雇用されないので仕方なく派遣と言う道を選んだ人は、この限りではありません。派遣と言う方法を、積極的に選んだのか、仕方なくそうしているのかによって、異なるということです。
最近は労働組合も、その組織率も加入率も低くなっているので、非正規雇用の労働者を守ろうとしている動きがありますが、会社単位の労働組合は、正社員を守るだけでしょう。派遣社員が契約を打ち切られているご時世に、賃金アップを要求しているところもあるくらいですから。
とにかく、制度云々ではなく、法の趣旨を守っているかどうか、それを監視し指導すべきなのです。